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作品紹介

八重子十種

初代八重子皇女和の宮

昭和28年朝日新聞に連載された小説を2年後に劇化。明治座にて上演された。演舞場では花柳章太郎全快、水谷八重子芸術院賞受賞記念、新派大合同公演として上演された。皇室の世界を舞台化した秀作で、公武合体のため、江戸幕府将軍家に降嫁となった皇女和の宮と有栖川師の宮の悲恋の物語は花柳の品格と水谷の可憐とも思える名演で深い感銘を観るものに与え、新派の新境地を開く貴重な作品となった。

八重子初演=昭和30年7月明治座

あらすじ

今の帝の妹で今年15歳になった和の宮親子内親王と師の宮・有栖川熾仁親王は相思相愛の仲であり、その婚礼が間近に迫っていたため京都桂の御所はいつになく華やいだ空気に包まれていた。しかし、度重なる外国船の来航に威光が薄れかけていた幕府は皇室との結びつきを強めようと和の宮を徳川家茂の妻に迎えようと求めてきていた。そして岩倉具視が天皇の使者として和の宮を迎えにくる。関東降嫁の話は二人の知らないところでひそかに進められていたのである。都人の目の届かないどこか遠い国へ二人で逃げようとまで思いつめた二人だったが無理やりに引き離され、ついに和の宮はすべてを犠牲にして徳川家に降嫁する。そして17年の歳月が流れた。徳川幕府は滅び、師の宮は陸軍大将となっていた。一方和の宮は結婚4年半で家茂が亡くなり、落飾してひっそりと暮らしていた。今でも変わらずに和の宮を思い続けており、平民となってでも思いを遂げたいという師の宮だったがそれも許されなかった。ある日和の宮が危篤という連絡が入った。なんとか臨終の和の宮の元へ駆けつけた師の宮は桂の御所での思い出の椅子に二人並んで座り、その腕の中で和の宮は眠るように息を引き取るのであった。

八重子十種
大尉の娘
風流深川唄
滝の白糸
花の生涯
明日の幸福
十三夜
「皇女和の宮」
鹿鳴館
明治の雪
寺田屋お登勢

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