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作品紹介

花柳十種

大つごもり大つごもり

樋口一葉の小説を久保田万太郎が脚色・演出し、昭和25年1月新橋演舞場で初演。大晦日の芝白金の資産家の屋敷で起こった一夜の物語。

花柳の役=おみね(後に石之助も演じている)

あらすじ

明治の中頃、大晦日の午後のことである。東京の芝白金台町の資産家山村家にみねという女中がいた。彼女は両親に死に別れた後育ててくれた伯父一家が貧窮のどん底に落ちてこの大晦日が越せそうにないのを知って何とか金の工面をすると引き受けてしまった。
しかしこの家の奥様あやは酷薄な性格で前借りを頼んでも聞き入れてくれそうにない。そんな中、山村家当主の山村嘉兵衛の先妻の子で道楽息子の石之助が酔っ払って小遣いをねだりに帰ってきた。石之助と折り合いの悪いあやは不機嫌になり、みねは必死の思いで前借りを頼みこんだが剣もほろろに断られた。急用ができてあやが出て行った後、みねの眼は金の入った手文庫に吸いつけられ、思わずその中から2円抜き取り、その場を立ち去った。炬燵の中で酔い潰れていた石之助が寝返りを打った事には気付かなかった。
訪ねてきた伯母に金を渡すと、伯母は涙を流して押しいただき帰っていった。今更のように良心に責められ、死を覚悟して井戸端で呆然と佇んでいると、奥から石之助が出てきて妹達にお母様にお小遣いありがとうございました、手文庫の中を御覧なさいと伝えるように言って謡曲を口ずさみながら帰っていった。
みねは石之助に自分の盗むところを見られたと知って観念すると―あやが紙切れを手に飛び出してきた。「手文庫の中の分、小生拝借仕り候、石之助」あやが紙切れを読む声を聞いて、みねは思わず石之助の去った方向に手を合わせて拝むのであった。

花柳十種
歌行燈
鶴亀
「大つごもり」
あじさい
夢の女
鶴八鶴次郎
遊女夕霧
佃の渡し
京舞

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