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出演
泉鏡花:作
戌井市郎:補綴・演出
齋藤雅文:演出
お孝:波乃久里子
五十嵐伝吾:田口守
お千世: 鴫原桂
笠原信八郎:安井昌二
清葉:高橋惠子
葛木晋三:市川段治郎
伊藤みどり/立松昭二/佐堂克実/森本健介/柳田豊
石原舞子/山吹恭子/川崎さおり/瀬戸摩純/井上恭太/児玉真二/鈴木章生/只野操
解説
平成23年の三越劇場初春新派公演は、日本橋架橋100百周年記念として泉鏡花の名作『日本橋』をご覧頂きます。
『日本橋』は、二人の名妓・お孝と清葉、そしてその二人と深く関わることとなる医学士・葛木晋三を中心とした物語で、古き良き日本橋界隈の情緒が、泉鏡花ならではの美しい台詞で綴られた魅力あふれる作品です。
今回は、お孝役の波乃久里子、笠原信八郎役の安井昌二を始めとする劇団新派に加えて、清葉役に高橋惠子、葛木晋三役に市川段治郎と新派初参加の素晴らしいゲストが出演いたします。
日本橋架橋100周年の幕開けにふさわしいこの作品を、どうぞお楽しみください。
あらすじ
大正はじめ、日本橋には二人の名妓がいた。
稲葉家お孝(波乃久里子)と瀧の家清葉(高橋惠子)である。医学士・葛木晋三(市川段治郎)は、清葉に姉の俤を見て、雛祭りの翌日に七年越しの想いを打ち明けた。しかし清葉は、ある事情で現在の旦那以外に男は持たないと固く誓った身のため、心の中では晋三を慕いながらも拒んでしまう。その夜晋三は傷心のまま、雛祭りに供えた栄螺と蛤を一石橋から放したところを巡査の笠原信八郎(安井昌二)に不審尋問される。そこへ現れたのは抱妓のお千世(鴫原桂)を伴ったお孝であった。お孝の口添えで笠原は尋問を諦め、お孝の住所と名を手帳に記して立ち去っていく。お孝は、清葉と晋三の関係を知りながら、清葉への意地の達引で晋三と馴染みになろうとする。そこへお千世の祖父、植木屋甚平が通りかかり、晋三に寄り添うお孝を見て、旦那様もご一緒でと挨拶する。すっかり嬉しくなったお孝は、晋三とお千世と共に西河岸の延命地蔵へ向かった。見送る甚平の前に、お孝に拾われて稲葉家の二階に住みついている五十嵐伝吾(田口守)が現れ・・・