八月新派公演『香華(こうげ)』
記者懇親会の模様
平成22年夏の新派公演は、有吉佐和子原作、大藪郁子脚本、石井ふく子演出による『香華』を上演いたします。昭和38年以来繰り返し舞台化されているものの、新派としては初めて取り組む今回の公演。舞台を前に、演出の石井ふく子、水谷八重子、波乃久里子、佐藤B作、松村雄基が公演への意気込みを語りました。
石井ふく子
3月新橋演舞場の『三婆』に続き、新派で有吉佐和子さん原作の作品を演出させていただくことになりました。生前有吉さんから「私の作品やってよ!」と伺ったこともあり、深いご縁を感じています。まったく考え方、生き方の違う母と娘が出てくるお芝居ですが、なぜか私の母が八重子さんの演じる郁代にどこか似ていることがございまして、やっていると母のことを思い出すような気がいたします。肩がこらずに、皆さんが楽しく、そして親子の絆を考えていただけるような作品に仕上げていきたいと思っています。
水谷八重子
私にとって郁代は、とても考えられない生き方をする女、山田五十鈴先生の他には思い浮かばない女・・・そんな郁代を私が勤められるだろうかと今は凄く恐い気持ちでいます。郁代は男に自分を写し、男に受け入れられる事に満足しながら、そうして自分を愛していたのではないでしょうか。そういう郁代の事がたまらなく好きです。郁代という女に全神経を捧げて舞台を勤めようと思っております。豪華に香るお花のような、そんな郁代になれればと思っております。
波乃久里子
私は有吉先生の作品が大好きです。10代の頃に先生の『出雲の阿国』という舞台に端役で出させていただき一度誉めていただきましたが、それ以来一度も誉めていただいたことがありません(笑)。今回はとても大きなお役を勤めさせていただきますが、天国の先生に誉めていただけるような朋子にしたいと思っています。また今回、舞台でナレーションも勤めさせていただきます。演技とはまた別の要素も多いので、石井先生からいろいろと教わりながら努力したいと思っています。
佐藤B作
歴史ある新派の舞台に初めてお呼びいただきとても緊張しております。八郎という男は、典型的な昔の男。自分の奉公先のお嬢さんに憧れて一途に恋をして、お嬢さんのために力になって生きているという、男として凄く美しい生き方をしています。「ジャイアンツ」という映画のジェームズ・ディーンが演じた役に重なるようにも思うのですが・・・まあ、自分とジェームズ・ディーンが重なるとは思ってないですけど(笑)。素晴らしい新派の舞台に立たせていただき本当に光栄でございます。
松村雄基
新派の公演には今まで何度も出演させていただいて参りました。僕も今年47歳になるので、世間では中堅と呼ばれる年齢ではあるのですが、新派に来ますといつも新人のような気持ちになります。また、石井先生とは19歳の頃から舞台やテレビでご一緒させていただいているので、また一からやり直せるようなとても新鮮な気持ちでいます。その気持を忘れずに一生懸命舞台を勤めたいと思っています。