関連情報
出演
原作:有吉佐和子
脚本:大藪郁子
演出:石井ふく子
水谷 八重子
波乃 久里子
佐藤 B作
松村 雄基
甲斐 京子
青柳喜伊子/伊藤みどり/永久保一男/立松昭二/森本健介
村岡ミヨ/矢野淳子/鴫原桂/只野操
みどころ
女として奔放に生きた母と
その陰でけなげに生きた娘
半世紀にわたる母娘の愛憎を描いた傑作舞台。
解説
8月の三越劇場公演は、創始120年有余の歴史を踏まえ、次々と話題作を放つ新派が登場致します。
今回は文壇の女流作家の中でも特に人気の高い有吉佐和子の名作「香華」を取り上げることと致しました。
男性遍歴を繰り返し母性を持たない母・郁代と、女の幸福を夢見ながらも母の為にそれが叶えられない娘・朋子、愛憎の絆に縛られた母娘の数奇な人生をむしろ喜劇的な視点で描いた情感豊かなお芝居です。
母・郁代に水谷八重子、娘・朋子に波乃久里子と新派を代表する二大女優が主演、二人を彩る八郎役に佐藤B作、江藤役に松村雄基、梅子役に甲斐京子が扮する充実の舞台です。
松竹が贈る良質の娯楽作品、「香華」にご期待下さい。
あらすじ
時は昭和13年。もとは和歌山の地主の娘でありながら祖父母の死後、親の離婚や借金などから静岡の遊廓、叶楼に芸者として売られた朋子(波乃久里子)は朋輩の梅子(甲斐京子)達と日々厳しく芸を仕込まれていた。真面目で気立てもよく、芸の筋もよい朋子は女将のお島(伊藤みどり)から特に目をかけられていた。
ある日その叶楼に新しい女郎がやってくる。華麗な花魁姿で現れたのはなんと朋子の母である郁代(水谷八重子)であった。郁代は朋子とは正反対の自由奔放な性格で今までに数回の結婚・離婚を繰り返し、ついには女郎となってこの静岡まで流れ着いたのであった。またその郁代を慕って和歌山時代の下男、八郎(佐藤B作)が大阪の奉公先から押しかけてくる。かくして母娘でありながら芸者と花魁という親子とは名乗れない関係に、かつての奉公人まで加わった遊廓での不思議な暮らしが始まった。
郁代は持ち前の衣裳道楽と男好きな性分から派手な生活を送り、さらには叶楼にくる前に妊娠していたため、その借金のかたに朋子は東京赤坂の津川屋に鞍替えすることになる。その別れの際、郁代は朋子に自分が一番好きな蔦の葉の柄の着物を渡すのであった。
朋子は、赤坂で女主人の太郎丸(青柳喜伊子)にわが娘のように可愛がられていい旦那もつき、小牡丹という名で一本のお披露目をするまでになった。しかし静岡から引き取った郁代は朋子の思いをよそに相変わらず奔放に男性遍歴を重ね、人生を謳歌するのであった。朋子は陸軍士官江崎文武(松村雄基)との真剣な恋を成就させるために芸者をやめ、築地の旅館花ノ家を経営することになる。しかし・・・。
母でありながら女として生きる郁代と、母のために人生を狂わせられ、それでも母への思慕を持ち続ける朋子。二人の愛憎の絆は蔦の葉模様の着物のように絡み合い、離れることがないのであった・・・。