関連情報
出演
昼の部『婦系図(おんなけいず)』
お蔦:波乃 久里子
小芳:水谷 八重子
妙子:紅 貴代
酒井 俊蔵:安井 昌二
早瀬 主税:片岡 仁左衛門
夜の部『鹿鳴館(ろくめいかん)』
影山 朝子:水谷 八重子
清原 永之輔:西郷 輝彦
大徳寺 季子:英 太郎
草乃:波乃 久里子
影山 悠敏:市川 團十郎
一條 久枝/青柳 喜伊子/伊藤 みどり/高橋 よしこ/小泉 まち子/佐堂 克実/
勝見 史郎/田口 守/立松 昭二/永久保 一男/柳田 豊/片岡 松之助/市川 新蔵/
市川 升寿
池上 鏡子/村岡 ミヨ/小山 典子/矢野 淳子/石原 舞子/鴫原 桂/川崎 さおり/
瀬戸 摩純/井上 恭太/児玉 真二/鈴木 章生/筑前 翠瑶/三原 邦男/只野 操/
半田 真二/八田 昌治/勢至郎/今村 廣則
みどころ
近代日本演劇の原点ともいうべき歴史的名作を同時上演。美しい日本語、古きよき日本の情緒を、豪華出演陣により鮮明に描き出します。
新派120年記念にふさわしい、未来に語り継がれる上質で重厚な舞台をご覧に入れます。
ものがたり
昼の部『婦系図(おんなけいず)』
六幕十場
泉 鏡花/作
大場 正昭/演出
齋藤 雅文/補綴
ドイツ語学者の早瀬主税(片岡仁左衛門)とお蔦(波乃久里子)は相思相愛で、一緒に暮らしはじめた。主税が元芸者のお蔦と生活していることは、主税の恩師、酒井俊蔵(安井昌二)には内緒であり、人目を忍んでの生活ではあったが、二人はつつましくも幸せに生きている。
一方、酒井の娘妙子(紅貴代)には河野英吉との縁談話が持ち上がっていた。河野家は家柄を鼻にかけているが内情は乱れており、河野家の不遜な態度につけても、主税は不愉快だった。
お蔦と主税のささやかな生活は、やがて酒井の知るところとなる。主税にとって、酒井は大恩人。「女を捨てるか、俺を捨てるか」と真剣に迫る酒井に、主税は心を決めるのであった…。
- 泉鏡花(いずみ・きょうか)1873年―1939年
- 尾崎紅葉に師事し、江戸文芸の影響を深くうけた怪奇趣味と特有のロマンチズムで知られる。また近代における幻想文学の先駆者としても評価される。代表作に『婦系図』『高野聖』『夜叉ヶ池』など。34歳のときに、『婦系図』を「やまと新聞」に掲載。新派の芝居の原作者として数々の作品を残す。
夜の部 八重子十種の内『鹿鳴館(ろくめいかん)』
悲劇四幕
新派百二十年記念ご挨拶申し上げます
三島 由紀夫/作
戌井 市郎/演出
文明開化の花咲く明治時代、鹿鳴館では毎晩のように舞踏会が開かれていた。今晩の主催者は、影山伯爵(市川團十郎)である。
影山伯爵の夫人朝子(水谷八重子)は、芸妓時代の友人季子(英太郎)から娘顯子(瀬戸摩純)の恋の仲立ちを頼まれる。その恋の相手とは、影山の政敵である、反政府派のリーダー清原永之輔(西郷輝彦)の息子久雄(井上恭太)であった。朝子と永之輔は、朝子が芸妓時代に恋人同士であった仲で、実は久雄は二人の間の子だった。
朝子は、久雄から永之輔暗殺計画を聞き、愛しい永之輔と久雄の命を守るため、今夜の舞踏会に主人役として参加することを決めた…。
- 三島由紀夫(みしま・ゆきお)1925年―1970年
- 東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。代表作は『仮面の告白』『金閣寺』『潮騒』など。戯曲に『サド侯爵夫人』『わが友ヒットラー』『近代能楽集』などがある。唯美的な作風で知られる。また、歌舞伎にも『椿説弓張月』『鰯賣戀曳網』などの大作を残す。