波乃 久里子(なみの くりこ)
昭和25年17世中村勘三郎襲名披露初春大歌舞伎公演にて初舞台。
初代八重子に憧れて36年劇団新派に「婦系図」妙子役で初参加。37年に劇団新派入団、初代八重子に師事。芝居一家の家に生まれ、幼い頃から芝居の世界に親しんでいたが、芸に対する真摯な態度と役作りに対する研究熱心さは劇界でも有名であり、あらゆる角度から役を分析し、過去の名優の舞台を研究しながら自身の役を作り上げていく緻密さがその舞台に如実に現れている。
「明治の雪」「大尉の娘」「京舞」「遊女夕霧」「十三夜」「皇女和の宮」などの新派の古典から「華岡青洲の妻」、「浅草パラダイス」シリーズ、蜷川幸雄演出の「エレクトラ」までさまざまな舞台で活躍している。
また座頭を勤める三越劇場新派公演では風間杜夫とコンビを組んで新派の古典を丁寧に演じている。劇団では水谷八重子と共に初代八重子の薫陶をうけ、その芸を受け継いだ現在の新派を支える女優である。
主な受賞歴は47年「雁・お玉の行く道」で芸術祭優秀賞、54年「わかれ道」「紙屋治兵衛」で芸術選奨文部大臣新人賞、「大つごもり」「遊女夕霧」で菊田一夫演劇賞などがある。