新派名作劇場『女の一生』
母の日トークショーの模様
6月三越劇場『女の一生』を間近に控えた5月10日、主演の波乃久里子と風間杜夫が、三越劇場のある三越本店で「母の日トークショー」を行い、母の思い出、舞台への意気込みを語りました。
───母の思い出は?
波乃 久里子
私の母は、六代目尾上菊五郎という名優の娘でしたから、とても芸に厳しい人で、私はいつも怒られてばかりでした。いつだったか楽屋に入ってくるなり「あなたのように、魅力が無くてひどい女優を産んだ覚えはありません!」って(笑)。夜中に起こされてお稽古を始めることも何度もありました。
今も厳しかった母に褒められたいという気持ちをもって、舞台を勤めています。母はとても偉大な存在です
風間 杜夫
母の薦めで児童劇団に入ったのが、役者になるきっかけでした。僕が学生になってからも、どんなお芝居でも必ず観に来てくれて、「お前はいい」「お前はすごい」「お前で芝居がもっている」って(笑)、いつも褒めてくれました。
大変な働き者で、下宿屋を始めたり保険の外交員をやったり、バイタリティーに溢れた母でした。
───『女の一生』について
- 風間 杜夫:
- 三越劇場で、波乃久里子さんや新派の方々とご一緒するのは4回目になります。母も新派が好きでしたが、古き良き日本人の心、今では感じることの少なくなった日本人の愛情が舞台に溢れていて、本当に素晴らしいと思います。
- 三越劇場に来てくださるお客様は大変品の良い方が多くて、熱心にお芝居を楽しんでいるのが舞台から感じられ、役者としても大変にやりがいのある劇場です。
- 波乃 久里子:
- 風間さんはもうすっかり新派の人、私は図々しくも、新派の一員だと思っております(笑)。さらに今回は司葉子さんもご出演下さって、本当に心強くありがたいことと思っています。
- 以前、女優を辞めてしまおうと考えた時、予感があったのでしょうか、杉村春子先生が今回勤めさせていただく布引けいの「自分で選んで歩きだした道ですもの」という有名なセリフの書かれた色紙を下さった事がありました。
- その時、「この布引けいの役をやるまで、私はお芝居を続けなくては」と強く心に決めました。きっと杉村先生は今回の舞台を天国から見守って下さると思っています。先生の力もお借りして、数々の名優の魂が宿る三越劇場で、『女の一生』を懸命に勤めたいと思っています。