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歴代の名優
菅原 謙次(すがわら けんじ)
本名、小松原一晃。大正15年3月14日生まれ。
父は常磐津勝蔵。妹はスペイン舞踊の小松原庸子。
日本映画学校、俳優座養成所(二期生)を経て大映映画に入る。大映時代は、そのガッチリとした体格を買われて、柔道・スポーツものが多かった。
彼を新派に結びつけたのは、作家北条誠である。昭和42年11月の新橋演舞場公演に、北条が「夜の窓」を書き下ろし、その主役に菅原を指名したのである。菅原はその期待にこたえて、新派俳優にはない、ナイーブで明るい演技をみせた。
新派入団は昭和48年。その前年に、伊志井寛、大矢市次郎を喪った新派にとって、菅原の入団は明るい灯をともした。昭和48年5月、新橋演舞場で「仮名屋小梅」の峰吉をやったが、大矢の専売特許のこの役を見事にこなした。この時から大矢の当たり役が廻ってくるようになった
自費で俳優養成所を開設したりして、若い人たちの面倒をよくみていた。
平成11年12月24日没。享年74歳。
安井 昌二(やすい しょうじ)
本名、四方正雄。昭和3年8月16日東京に生まれる。
昭和24年長谷川一夫主宰の新演技座に入団。
昭和26年俳優座三期生として活動し、昭和29年に日活に入社。小津安二郎脚本「月は上りぬ」で映画デビュー。昭和31年には市川崑監督「ビルマの竪琴」に出演。
昭和37年からはテレビドラマ「パパの育児手帳」や「チャコちゃんシリーズ」で人気を博す。
昭和38年劇団新派公演に初参加し、初代水谷八重子の相手役を度々勤めた後、昭和43年に正式に入団。
当たり役に、『滝の白糸』の村越欣弥、『婦系図』の早瀬主税、『日本橋』葛木晋三など。
近年では『女の一生』、山田洋次脚本・演出の『麥秋』、『東京物語』など新派古典作品以外でも活躍。
若い頃は正統派二枚目として映画やテレビなどで人気を博していたが、近年は舞台を中心に更に芸域を広げ、渋さと貫禄で劇団の重鎮として活躍していた。
最後の舞台は平成25年7月新派公演南座及び全国公演『東京物語』平山周吉。
平成22年第31回松尾芸能賞演劇特別賞受賞。
映画・テレビ・舞台で活躍。生涯、正統派二枚目俳優を貫いた。
平成26年3月3日没。享年85歳。
英 太郎(はなぶさ たろう)
喜多村緑郎や花柳章太郎などかつては女方が中心であった新派の流れを受け継ぎ、現在新派唯一の女方として、女優中心の劇団においてその一翼を担いつつ、自身の会を行うことでさらなる女方芸の向上と芸の存続に勤めた。
新派の名女方であった初代英太郎に弟子入り。師匠の死後、昭和48年に二代目を襲名した。代表作としては「仮名屋小梅」の小梅、「花魁草」のお蝶、「婦系図」の小芳、「明治一代女」の秀吉、「京舞」のおまき、「明日の幸福」の松崎淑子など。
またその確かな演技力と幅広い芸域ゆえに新派の作品のみならず外部公演にも数多く出演しており「女形の歯」「女人哀詞」「お種と仙太郎」、ニューヨーク公演「FULL HOUSE」など女方芸を生かして活躍していた。 芝居のほかに日舞や三味線などにも精通し舞台でもその芸を発揮していた。
主な受賞歴は昭和59年第5回松尾芸能賞演劇特別賞、昭和59年菊田一夫演劇賞、昭和61年芸術祭賞。
2016年11月11日、虚血性心不全のため死去。81歳没。