妖しくも美しい―――
新派版『黒蜥蜴』

オリジナルストーリーで贈る、新派版『黒蜥蜴』が誕生！

名探偵明智小五郎と、この世の美しいもの全てを手に入れたいと渇望する女盗賊、黒蜥蜴──。 幾度となく映像、舞台化されてきた江戸川乱歩の傑作が、喜多村緑郎と河合雪之丞のコンビで、新たな輝きを増して三越劇場に登場。奇想天外、トリックの連続、変装や早替りを加えた演出に目が離せません。実力派の永島敏行、新派初参加となる劇団EXILEの秋山真太郎を迎え、昨年新派入団を果たした春本由香の出演により、九十周年の歴史を刻む趣溢れる劇場空間で繰り広げられる、妖しくも美しい愛の物語にご期待ください！

本当に美しいものは、
人生を賭けるに相応しい――

　時は昭和初期。国宝級のダイヤ「クレオパトラの涙」を保有する宝石商岩瀬の娘が誘拐された。
〝お嬢さんを私からお買い戻しになるお気持ちはありませんか。代金。「クレオパトラの涙」一個──〟
　刑事の片桐の目の前で堂々と誘拐を成功させたのは、社交界の花形、緑川夫人と呼ばれる有閑マダムであり、その実、暗黒街を牛耳る女王、恐ろしき女賊の黒蜥蜴。彼女の目的は、世界中の美しいものを手に入れること──。手下の雨宮潤一と共に時に人を殺めることも厭わず、数多くの罪を犯していた。
　そんな黒蜥蜴の前に、名探偵の明智小五郎が立ちはだかる。英知溢れる名探偵と、美しさに取り憑かれた女賊の壮絶な対決の数々が満都を舞台に繰り広げられる！黒蜥蜴が本当に手に入れたかったものとは──。その末に待っているもの、それは──。
　甘く切ない結末に、諸君の胸は締め付けられるに違いない。