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みどころ
──── 夏に相応しい“涼やかな静”と“爽やかな動”
趣向の異なる二本をお届けします ────
あらすじ
一、螢(ほたる)
作 :久保田万太郎
演出:大場正昭
“螢”と共に真実が届いた…
浅草鳥越に二人の錺職人(かざりしょくにん)がいた。実直な栄吉(市川月乃助)に比べ、兄弟子の重一(永島敏行)は、酒に明け暮れ、酔ったあげく女房とき(波乃久里子)の母親を刃物で傷付け、刑務所暮しを送る羽目となった。このまま夫婦ではいられない―こう思いつめた重一の心を汲んだ親方が二人を離縁させ、ときは栄吉と所帯をもった。大正の震災後、重一は出所し、親方の世話もあり、苦労人のよし子(伊藤みどり)を女房にした。重一は人が変わったように一筋に稼業に精を出した。だがその親方が亡くなり……。
昭和二、三年、鳥越神社の祭礼の夕方、近所に住む栄吉の住居に栄吉夫婦とよし子がいる。心を入れ替えたはずの重一の暮しがまた狂いだしたのだ。重一に会いに栄吉はよし子と共に家を出た。
─── やがて夕闇が迫る。とき一人の留守居の家を訪ねてきたのは、重一であった……。
二、江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)
作 :北條秀司
補綴・演出:成瀬芳一
夏の暑さを吹き飛ばす!
―抱腹絶倒のキツネとタヌキの騙し合い―
元歌舞伎の女方で手拭い染屋の伊之助(市川月乃助)の女房おきわ(市川春猿)は昼間から酒びたりで、生臭坊主の重善(永島敏行)と不貞の仲。その重善に金満家の娘おそめ(小川絵莉)との縁談が持ち上がり、激怒したおきわは重善の「一緒になりたいのなら旦那を殺してこい」という言葉を真に受けてしまう。そしておきわは毒を盛り、首尾よく伊之助を殺すが、弔いを済ませ逃げようとするおきわと重善の前に、死んだはずの伊之助が現れる。
その後、話はいささか間抜けな使用人の又市(田口守)や腹に一物を持った
寺男の甚平(立松昭二)を巻き込み、騙し騙されの壮絶な化かし合いに。
果たして最後に微笑むのは誰なのか……。
出演
一、螢
船木とき・しげ(二役):波乃 久里子
船木栄吉:市川 月乃助
おきみ:瀬戸 摩純
よし子:伊藤 みどり
鈴木重一:永島 敏行
二、江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし
おきわ:市川 春猿
重善:永島 敏行
おそめ:小川 絵莉
甚平:立松 昭二
又市:田口 守
伊之助:市川 月乃助