みどころ
「湯島の境内」で有名なお蔦と主税の悲恋を軸に、二人を取り巻く人々を描いた名作『婦系図』。
新派の代表作のひとつとして長年に亘り愛され、本年生誕百四十年を迎えた泉鏡花の世界に、春猿、月乃助、笑三郎が新たな息吹を吹き込みます。
明治情緒溢れる名場面、名台詞とともにお楽しみください。
出演
作:泉 鏡花
補綴・演出:成瀬芳一
お蔦:市川 春猿
早瀬主税:市川月乃助
めの惣:田口 守
おます:伊藤 みどり
酒井俊蔵:立松 昭二
妙子:瀬戸 摩純
小芳:市川笑三郎
柳田 豊 森本 健介 高橋 よしこ
鈴木 章生 児玉 真二 川上 彌生 山吹 恭子 石原 舞子
あらすじ
ドイツ語学者の早瀬主税(ちから)(市川月乃助)と元芸者のお蔦(つた)(市川春猿)は相思相愛で、一緒に暮らしはじめました。
主税がお蔦と生活していることは、主税の恩師、酒井俊蔵(立松昭二)には内緒であり、人目を忍んでの生活ではありましたが、姉芸者小芳(こよし)(市川笑三郎)の助けもあり、二人はつつましくも幸せに暮らしています。
一方、酒井の娘妙子(瀬戸摩純)に河野英吉との縁談話が持ち上がります。
河野家は家柄を鼻にかけながらも、内情は乱れており、河野家の不遜な態度につけても、主税は不愉快でした。
お蔦と主税のささやかな生活は、やがて酒井の知るところとなります。主税にとって、酒井は大恩人。
「女を捨てるか、俺を捨てるか」と真剣に迫る酒井に、主税は心を決めるのでした…。