出演
『片恋』
山村紅葉
丹羽貞仁
『女の決闘』
水谷八重子
渡辺美佐子
千草英子/曽我廼家八十吉/田口守/青柳喜伊子
あらすじ
『片恋』
昭和30年代。祇園祭の日が、奉公人にとって最大の休日だったころ――。
京都市中京区の呉服問屋「丸福」では、上客の歌舞伎役者・九女蔵(曽我廼家八十吉)と、内儀・房江(山吹恭子)が祇園祭の話で盛り上がっている。また台所でも、女中たちは祇園さんへお詣りに行く話に夢中になっていた。その中で祭り好きのおまつ(鴫原桂)は浮かない様子。そんなおまつを見て、今年は留守番役だからだろうと、お初(山村紅葉)は当番を代わってやる約束をする。あまり祭りに興味がなく、男性にも縁のないお初であったから…。
ところが、飯炊き婆のおくら(千草英子)が手代の徳七(丹羽貞仁)からお初にと、文を渡しにやって来た。心ひそかに憧れている徳七からの祇園祭への誘い文。心躍るお初であったが…。
『女の決闘』
昭和20年代。教育家の娘で自身も教育婆さんの竜巻文子(渡辺美佐子)は、息子の松男(井上恭太)と共に、文子の知り合いの富子(青柳喜伊子)が女将をやっている温泉宿へとやって来た。一方、酒問屋生まれでモダン婆さんの高沢花子(水谷八重子)は孫の幸代(瀬戸摩純)と、同じ宿に湯治に来ていた。ダンスを通じて若い松男と幸代は引かれ合うようになるのだが、お婆さん同士は顔を見てびっくり! はるか昔の青春時代、二人は恋敵だったのだ。突然の再会から、思いは50年前へと遡る…。
当時、女学生の二人は番頭の瀬木(田口守)も羨む程の大の親友だったが、同じ人を好きになったことから互いに一歩も引かない争奪戦となったのだ。最後には花子の優位を知った文子が身を引き、絶交したままであった――。
時間は二人の溝を埋めてくれ、再び仲の良さを取り戻したのだが、そこで花子の意外な告白を聞くこととなる…。