義経千本桜
『義経千本桜』は、『菅原伝授手習鑑』、『仮名手本忠臣蔵』と並ぶ歌舞伎三大名作の一つで、初演より多くの俳優によって演出が練り上げられ、今日まで人気作品として上演を重ねています。
登場人物
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源義経
源氏の大将。平家討伐の中心人物だったが、総大将である兄頼朝から謀反の疑いをかけられ、弁慶の短慮な行動もあって、やむなく都を離れる。
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静御前
義経の愛妾。都落ちを余儀なくされた義経に同行を願うが聞き入れられず、形見として与えられた初音の鼓を義経と思いながら都で迎えを待つことになる。義経が吉野山にいると聞き、待ちきれずに忠信を供に吉野山へ旅立つ。
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狐忠信
伏見稲荷で義経たちと別れた静御前の危機を救う。静の守護を命じられ吉野山行きにも同行するが、行動の端々に怪しげなところがあり、問い詰められてついに狐の正体を現す。
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第一幕
鳥居前
兄の頼朝から謀反の疑いをかけられ、やむなく都を追われた義経一行は伏見稲荷へやってきます。愛妾の静御前が追ってきますが、義経は都に留まるように諭し、初音の鼓を自らの形見として預け、立ち去ります。残された静は、追手に引き立てられそうになりますが、駆けつけた義経の家臣佐藤忠信に救われます。再び姿を現した義経は、忠信に静の守護を命じ、九州へ落ち延びて行くのでした。
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第二幕
道行初音旅
桜が満開の吉野路。義経を尋ねて旅を続ける静御前と忠信。山中でひと休みする静に、忠信は戦死した兄の佐藤継信の戦場での様子を語って聞かせます。
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第三幕
川連法眼館
川連法眼と飛鳥夫妻のもとに身を寄せている義経を訪ねて、佐藤忠信が現れます。この忠信は実は狐で、親狐が初音の鼓の皮に用いられているのを知り、忠信に化けて静に付き添っていたのです。親を想う子の情愛に心を打たれた義経がその鼓を与えると、喜んだ狐は鼓を手に古巣へと帰って行くのでした。