モーツァルト《フィガロの結婚》

ヨアナ・マルヴィッツ

Joana Mallwitz

《指揮》

音の背後にある意味を追求できる女性指揮者。1986年に独ヒルデスハイムに生まれ、3歳でヴァイオリン、5歳でピアノをはじめ、ハノーファー音楽演劇大学で学んだ。2006年には指揮活動をはじめ、エアフルト劇場、フランクフルト歌劇場などに次々と進出。2020年にザルツブルク音楽祭で《コジ・ファン・トゥッテ》でデビュー（同音楽祭でオペラ指揮をした3人目の女性）23-24シーズンからベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督。今回がMETデビュー。

リチャード・エア

Richard Eyre

《演出》

オペラを美しい舞台のまま演劇的に深化させる演出家。1943年に英デヴォン州で生まれ、ケンブリッジ大学ピーターハウス校で学び、俳優から演出家に転じた。ローレンス・オリヴィエ賞3回、トニー賞2回受賞。ナイトをはじめ叙勲も多数。94年、英国ロイヤル・オペラで話題になったアンジェラ・ゲオルギユー主演《椿姫》が初のオペラ演出。METでは09-10の《カルメン》、13-14の《ウェルテル》、14-15初演のこの《フィガロの結婚》などを演出した。

マイケル・スムエル

Michael Sumuel

《フィガロ》

バスバリトン

演劇性も高い明るい音色のバスバリトン。米テキサス州オデッサ出身。ヒューストン・グランド・オペラ・スタジオ等で学び、09年、ダラスのオペラ・ギルド声楽コンクール第1位。12年、METナショナル・カウンシル・オーディションのグランドファイナリスト。METデビューはLVにもなった21-22の《シンデレラ》。LV23-24の《マルコムX》レジナルド役でも強い印象を残した。ヘンデル《メサイア》と並んで《フィガロの結婚》のフィガロ役が十八番だ。

オルガ・クルチンスカ

Olga Kulchynska

《スザンナ》

ソプラノ

温かみがある叙情的な声が魅力のリリック・ソプラノ。1990年、ウクライナのリウネの音楽一家に生まれ、5歳から音楽学校でピアノ等を学び、児童合唱団で歌った。キーウのグリエール音楽大学で楽理を、ピョートル・チャイコフスキー国立音楽アカデミーで声楽を学んだ後、数々の著名コンクールを制覇。ボリショイ劇場に所属後、世界の主要歌劇場や音楽祭に進出した。METデビューは2019年、《ラ・ボエーム》のムゼッタ役。LVは今回が初登場。

ジョシュア・ホプキンス

Joshua Hopkins

《アルマヴィーヴァ伯爵》

バリトン

磨かれた声による思慮深い歌唱が味わい深いバリトン。カナダのペンブローク生まれ。2002年、フリヤン・ガヤレ国際声楽コンクールでの優勝以来、数々の受賞や栄誉に輝き、主にカナダとアメリカで一流と評価された。モーツァルト、ベルカント、フランス・オペラを中心に現代作品まで、喜劇から悲劇まで柔軟に歌いこなす。2009年、《トゥーランドット》のピン役がMETデビュー。LV21-22の《エウリディーチェ》オルフェオ役の力強い歌唱が記憶に新しい。

フェデリカ・ロンバルディ

Federica Lombardi

《伯爵夫人》

ソプラノ

純度が高い声による高貴な歌唱に加え長身と美貌も備わる、スター性が高いリリック・ソプラノ。1989年、伊チェゼーナで生まれ、ザルツブルク音楽祭の若手歌手プロジェクトやミラノ・スカラ座アカデミーで学んだ後、モーツァルトやベルカント・オペラでウィーン国立歌劇場や英国ロイヤル・オペラ等にたちまち進出した。METデビューは19年の《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・エルヴィーラ役。LV22-23の《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・アンナ役が鮮烈だった。

マリアンヌ・クレバッサ

Marianne Crebassa

《ケルビーノ》

メゾソプラノ

官能性と気品が両立した歌唱が魅力のメゾソプラノ。1986年、南仏アグドで生まれる。幼少時からピアノを、14歳から歌をはじめ、セットの音楽学校、モンペリエの音楽学校で音楽学、歌唱、ピアノを学んだ。2010年にパリ・オペラ座のヤング・アーティスト・プログラムに参加し、複数の主要オペラで脇役を経験。12年にはザルツブルク音楽祭にデビューし、その後は世界的に評価が定まった。METデビューは20年の《フィガロの結婚》ケルビーノ役。