ロッシーニ《セヴィリャの理髪師》

ジャコモ・サグリパンティ

Giacomo Sagripanti

《指揮》

深い楽譜の読みから、ベルカント・オペラに生命をあたえる指揮者。1982年、伊アブルッツォ州ジュリアノーヴァ生まれ。ペーザロのロッシーニ音楽院などでピアノや作曲、指揮を学び、ブルーノ・バルトレッティら著名指揮者のアシスタントを務めた。その後、パリ・オペラ座、ウィーン国立歌劇場などに次々と進出して常連に。ロッシーニやヴェルディ等の解釈が高く評価されている。METデビューは2020年の《セヴィリアの理髪師》。LV初登場。

バートレット・シャー

Bartlett Sher

《演出》

息をのむほど美しい舞台と、現代人が心底共感できるドラマを両立させる演出家。1959年にサンフランシスコで生まれた。演劇畑を歩み、ブロードウェイではトニー賞に9回ノミネートされ、2008年に『南太平洋』でミュージカル最優秀演出賞。オペラ演出でもニューヨーク・タイムズ紙に「もっとも独創的で刺激的な一人」と評された。LV21-22の《リゴレット》や23-24の《ロメオとジュリエット》などMETの名演出も数多い。今季のLVは《ホフマン物語》も。

ジャック・スワンソン

Jack Swanson

《アルマヴィーヴァ》

テノール

高度な技巧を備え、歌唱至難の装飾的パッセージを鮮やかに歌う美声のテノール。1992年、ミネソタ州スティルウォーター生まれ。オクラホマ大学で音楽学士号、ライス大学で音楽修士号を取得後、数々の国際コンクールで優勝。ロッシーニのアクロバティックな歌唱もドニゼッティのレガートも秀逸で、特にロッシーニ歌手として評価を高めているアルマヴィーヴァ伯爵役は、2024年に伊ペーザロのロッシーニ音楽祭でも歌った。今回がMETデビュー。

アイグル・アクメトチナ

Aigul Akhmetshina

《ロジーナ》

メゾソプラノ

若くしてすべて備わった稀有なメゾソプラノ。1996年にロシアで生まれ、ウファ芸術大学で学ぶ。2017年、英国ロイヤル・オペラの若手芸術家育成プログラムに参加。豊かな深い声をどの音域でも均質に響かせ、装飾歌唱の精度も高い。20代で世界の主要歌劇場や音楽祭に進出し、20年には新国立劇場《こうもり》のオルロフスキー公爵役で強い印象を残した。METデビューは22年の《リゴレット》マッダレーナ役。LV23-24の《カルメン》題名役は圧巻だった。

アンドレイ・ジリカウスキ

Andrey Zhilikhovsky

《フィガロ》

バリトン

鮮やかな美声で颯爽と歌うベルカント・バリトン。1985年、ウクライナの西隣モルドバのチミリア生まれ。シュテファン・ニャガ音楽大学で合唱指揮を学んだ後、サンクトペテルブルクのリムスキー＝コルサコフ国立音楽院に入学。現在、世界の主要な歌劇場や音楽祭へ急速に進出している。フィガロはトリノ王立歌劇場などでも圧倒的な称賛を得ている。俳優並みの容姿も魅力だ。METデビューは2019年、《ラ・ボエーム》のショナール役。LV初登場。

ピーター・カルマン

Peter Kálmán

《バルトロ》

バスバリトン

重厚な声をどのようにも輝かせるバスバリトン。ある時はシリアスな役をドラマティックに歌い、ある時はバルトロや《ラ・チェネレントラ》のドン・マニフィコのような道化的人物を魅力的に表現する。1970年、ハンガリーのブダベスト生まれ。ホームグラウンドのハンガリー国立歌劇場のほか、世界の主要歌劇場でも、バロック、モーツァルト、ロッシーニからバルトークやワーグナーまで幅広いレパートリーを歌う。今回がMETデビュー。

アレクサンダー・ヴィノグラドフ

Alexander Vinogradov

《ドン・バジリオ》

バス

黒光りする低声を格調高く響かせるバス。1976年、モスクワ生まれ。モスクワ工科大学物理数学科に入学後、オファーを受けてモスクワ音楽院声楽科に転向。ボリショイ劇場を経て世界に活躍を広げ、新国立劇場の《フィガロの結婚》、19年のセイジ・オザワ松本フェスティバル「エフゲニー・オネーギン」のグルーミン公爵など来日も多い。METデビューは2018年、《ルイザ・ミラー》のヴァルター。LV18-19の《カルメン》エスカミーリョ役も印象深い。