石丸幹二《トスカ》スペシャルトークイベントリポート
世界最高峰のメトロポリタン・オペラを大スクリーンで楽しむMETライブビューイング。今シーズン大注目の作品、プッチーニ《トスカ》新演出の公開初日にオペラ愛好家として知られる俳優 石丸幹二さんのスペシャルトークイベントが開催されました!
イベントの始まりには「オリンピック真っ最中ですが、今日はオペラを楽しみましょう!」と観客へ向けてにこやかに挨拶をし、和やかなムードで始まりました。
METライブビューイングについては以前から知っていたという石丸さん。「ニューヨークで上演されたばかりの作品が、こんなにも早く日本で、しかも大スクリーンで観られるなんてすごい!複数のカメラで撮られていますから、現地の特等席よりも、こちらの方が良い席だとも言えますよね!」と熱くMETライブビューイングを紹介しました。
様々な歌劇場で《トスカ》を観てきたという石丸さん。「中でも今回のMETの《トスカ》は非常に演劇的だと思います。歌手たちが登場人物たちの心情を自然に表現していて、まるで芝居を観ているようで、とてもワクワクしました」と、今回の歌手たちの演技を大絶賛。オペラの中でも最も有名な対決のシーンとして知られるトスカと警視総監スカルピアのやりとりについては、抜群の演技力を誇る名バリトン ジェリコ・ルチッチの「スカルピアの攻め方が憎々しいけどセクシー。私も役者として(演技を)盗もうと思いました!」と会場を沸かせました。世界中で引っ張りだこのソニア・ヨンチェヴァ、大人気のテノール ヴィットーリオ・グリゴーロ、そして屈指のバリトン ジェリコ・ルチッチの3人についての印象は「美しくて、ハンサムで、憎々しい!そして3人とも演技が素晴らしい!心の中が手に取るようにわかります。特にトスカは、私の知っている今までのトスカとは違うんです!わがままだけじゃない気がしたんです。そこが見どころです」と大絶賛。
舞台となった1800年当時のローマに実在する教会や宮殿を精巧に再現したことでも話題となっている今回のデイヴィッド・マクヴィカーの演出版。石丸さんは「教会の柱も実在するローマの柱を模していて、現地の人でもあの教会だ!とわかるほどだそうです!」と演出のリアルさにも驚きの表情。第3幕のサンタンジェロ城の屋上のシーンでは「舞台にわざと傾斜をつけていて、奥から囚人たちが上がって来るときの影が非常にリアル。第3幕、処刑のシーンからスタートする演出にゾクゾクします!」と、様々な演出版を見比べてきた舞台俳優・石丸さんならではの注目ポイントを紹介。
METライブビューイングといえば、幕間の特典映像での歌手や演出家へのインタビューもオペラファンの楽しみのひとつ。そのインタビューには「同じ演じる人間として勉強になりました。舞台で歌ったばかりの幕間に、みなさん理路整然と気持ちや考えを伝えていて。インタビュアーも歌手の方ですから、舞台人同士の心の分かち合いも観れますし、時間ぎりぎりまで話してくれようとする。そんな生の声が聞けるというのは幸せですよね!」と太鼓判。特典映像も見逃さないでとおすすめしました。
長年ミュージカルで活躍されている石丸さんは「オペラもミュージカルも、どちらも”歌”を介して物語を伝えるというのは同じ。ミュージカルは現代のオペラだなと思います」と語ります。自身が主演を務めるミュージカル『ジキル&ハイド』(3/3(土)から上演)について、「今回このオペラを観たことで刺激を得ました。より妖しく、演じてみようと思っています!」と意気込みを話すと会場からは自然と拍手が沸き起こりました。
そして最後に「『愛のために死ねる』って、現実にはなかなか無理だけれど、《トスカ》 のようにオペラの中でならあり得ます!第3幕の〈星は光りぬ〉は心がキュキュキュと締め付けられますよ。みなさん、ハンカチを忘れないで!」と熱く締めくくりました。
METライブビューイング《トスカ》新演出は、2/23(金)まで絶賛公開中!(東劇のみ3/2まで上映)。ぜひお見逃しなく!
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©Ken Howard/Metropolitan Opera