エンタテインメントの世界

Vol.10 『パラレルワールド・ラブストーリー』映画パンフレット

映画パンフレット・グッズの担当者にこだわりを聞くインタビュー企画。
第10回は『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日公開)の映画パンフレット担当者・森岡裕子氏に話を聞きました。

※一部、設定・ストーリーに触れている箇所がありますので、ご注意ください。

Q. 企画や構成はどうやって決めましたか。

 今回の映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のコンセプトと内容が、“二つの世界が目まぐるしく変わるミステリー”ということで、観終わったお客様が、謎を解いてすっきりできるような、答え合わせができるものを目指しました。
 結末を知った後でもう一回観直すと、あの場面ってこういうことだったのか、とか、一回では気づけない登場人物たちの行動や気持ち、といった発見がたくさんある映画ですので、二回目に観るときに見え方が変わるような、ガイドとなるパンフレットを制作しました。

Q. この作品ならではの制作エピソードはありますか?

 この映画は、ミステリー、人間ドラマとしても複雑なので実は台本が二つ存在するんです。そんな複雑な作品を撮影する現場での、キャスト皆さんの苦労、監督からあった様々な演出などのやり取りや現場エピソードが伝わるように、インタビューなどの企画を充実させました。さらに、劇中の細かい出来事を振り返ることで、ラブストーリーとしてドラマの余韻も感じていただけるのではと思います。
 監督も打ち合わせに入ってくださり、アドバイスをいただいたり、協力していただきました。監督発案の、“映画を観終わった方が楽しめる企画”も入っています。

Q. 表紙のこだわりを教えてください。

 今回の表紙は、プロデューサーから「この映画の108分の中に様々な展開があり、二つの世界が目まぐるしく変わる、というところを表現してほしい」とリクエストがあり、デザイナーと相談して、このビジュアルになりました。
 特にキャストのファンの方々は、チラシはもう手元に持っていて、色んな写真をできるだけ多くご覧になりたいと思います。ポスター等で使用しているものではなく今まで外に出ていない写真や新しいビジュアルも見せる、ファンの方に喜んでもらえるもの、を意識して、オリジナル表紙と写真を多く使ったレイアウトにしました。

Q. 今回こだわったポイントを教えてください。

 この映画はネタバレになる部分があるので、そこをどうやって見せるのかにこだわりました。よくある「ネタバレ!」や「ここから○○」などといったベタな表現はしたくないなと思い、ネタバレ部分は、紙やサイズを変えて中央に挟み込む形で入れることにしました。
 このレイアウトは、今まで色々なパンフレットを制作してきた中で、他の作品でやったことのある方法をヒントにしていますが、今回は主演の玉森裕太さんと吉岡里帆さんを見開きページの左右に大きく載せました。映画の冒頭、二人の乗る電車がすれ違うシーンを再現し、二つの世界とその世界の真実が間の部分に入っているという、映画の切ない世界観を味わっていただけるレイアウトになっています。

Q. 読者の方へメッセージをお願いします。

 今回、特に凝った構造の映画なので、まずは、映画を楽しんでいただくツールとして、「何が起こっていたか」という復習として読んでいただきたいです。
 また、映画は、色々な裏話や情報を知ることで見方が広がるものだと思います。
 この映画は特に、色々な見方、楽しみ方ができる作品で、それを楽しめるような企画やコラムをパンフレット内に入れています。映画を観終わった後で、これを読んで、映画の感想を語るだけではなく、違う切り口、広がり方を意識して、是非もう一度映画館で観てみていただきたいなと思います。

松竹株式会社 事業部出版商品室
森岡 裕子(もりおかゆうこ)

取材:松竹株式会社 経営企画部広報室

 次回・Vol.11