作品情報
イントロダクション
現代演劇界を代表する奇才 野田秀樹が坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」を下敷きに書き下ろした伝説の舞台『贋作・桜の森の満開の下』。
1989年に“劇団 夢の遊眠社”により初演されて以来、安吾作品のエッセンスを随所に散りばめた壮大な戯曲、恐ろしいほど妖しく圧倒的に美しい世界感が多くの演劇ファンの心を奪い、常に上演を望む声が聞かれる作品です。
そんな伝説の舞台が、ついに歌舞伎として新たに生まれ変わり、この度再びシネマ歌舞伎として全国のスクリーンに登場します。
『野田版 桜の森の満開の下』がシネマ歌舞伎に登場するにあたっては、世紀に跨る物語がある。
前世紀、1998年の正月、故中村勘三郎と、歌舞伎の新作ができないものかと、ワークショップをやった。その際に、歌舞伎役者らが、私の現代劇『贋作・桜の森の満開の下』をベイスに何らかの形を作り、現代劇の役者らが木村錦花作『研辰の討たれ』を何らかの形にした。その時は、どちらもまだまだ歌舞伎にできるような代物にはならなかったが、それでもその時に得た手応えから、換骨奪胎した2001年の『野田版 研辰の討たれ』が生まれた。勘三郎とはその後、いつか『桜の森の満開の下』も歌舞伎にしようと話していた。
その夢叶わぬままに勘三郎は「薨(みまか)」ることとなった。その「死」の上に乗っていた「夢」が、形になったのが去年の夏だ。勘三郎は、世を去る数年前「シネマ歌舞伎の『野田版 鼠小僧』、見た?それが思いのほかいいのよ。あれはあれで一つの形だよ」と情熱たっぷりに話していた。
このシネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』には、一見、勘三郎は何一つ関わってはいない。だがその根底には、彼が歌舞伎に賭け続けた情熱がある。世紀に跨る彼の歌舞伎への熱量でここに生まれている。
野田秀樹
ストーリー
深い深い桜の森。
時は天智天皇が治める時代。
ヒダの王家の王の下に、三人のヒダの匠の名人が集められる。
その名は、耳男、マナコ、そしてオオアマ。
ヒダの王は三人に、娘である夜長姫と早寝姫を守る仏像の彫刻を競い合うことを命じるが、実は三人はそれぞれ素性を隠し、名人の身分を偽っているのだった。
そんな三人に与えられた期限は3年、夜長姫の16歳の正月まで。
やがて3年の月日が経ち、三人が仏像を完成させたとき、
それぞれの思惑が交錯し…。
キャスト
中村勘九郎
耳男
中村七之助
夜長姫
中村梅枝
早寝姫
市川染五郎
(現・松本幸四郎)
オオアマ
坂東巳之助
ハンニャ
中村児太郎
ビッコの女
中村虎之介
左カタメ
坂東新悟
アナマロ
中村吉之丞
青名人
中村芝のぶ
エナコ
市川弘太郎
右カタメ
中村梅花
マネマロ
中村扇雀
ヒダの王
片岡亀蔵
赤名人
市川猿弥
マナコ
坂東彌十郎
エンマ
中村勘九郎
耳男
市川染五郎
(現・松本幸四郎)
オオアマ
中村七之助
夜長姫
中村梅枝
早寝姫
坂東巳之助
ハンニャ
坂東新悟
アナマロ
中村児太郎
ビッコの女
中村虎之介
左カタメ
市川弘太郎
右カタメ
中村芝のぶ
エナコ
中村梅花
マネマロ
中村吉之丞
青名人
市川猿弥
マナコ
片岡亀蔵
赤名人
坂東彌十郎
エンマ
中村扇雀
ヒダの王
スタッフ
美術|堀尾幸男
照明|服部基
衣裳|ひびのこづえ
美粧|柘植伊佐夫
音楽・作調|田中傳左衛門
附師|杵屋巳太郎
作曲・効果|原摩利彦
音響|zAk
振付|井手茂太
立師|渥美博
平成29年8月歌舞伎座公演 ※出演者名は公演当時の表記です