小学生の頃の映画鑑賞経験は、子どもたちの好奇心や世の中への興味を高め、教育にポジティブな影響をもたらす
2018年9月に設立した「映画のある生活ラボ」は、映画館での映画鑑賞が“幸福度”を上昇させる効果などを調査結果として発信してきました。第3回のレポートでは、映画鑑賞と教育について分析した結果をご報告します。
※詳細データは こちら(500 KB)PDF
調査結果
小学生時代の映画鑑賞経験と成人後の学歴や学力には相関が見られ、好奇心や文化への興味を高め、教育にポジティブな影響をもたらしていると言えそうです。
小学生時代の映画鑑賞頻度が増えるに連れ、現在の学力が高まる傾向にあります。また多くの先行調査において、幼少期の読書経験が学力を向上させるという結果が出ており、本調査においても同様の相関が見られました。小学生時代の活動が成人後にもたらす効果測定は難しいものの、映画鑑賞が読書同様に教育にポジティブな影響をもたらした可能性はあります。
そして学力以外でも、「好奇心旺盛である」「日本や世界の文化に興味がある」などの項目が、映画鑑賞頻度が増えると顕著に高まる傾向があり、子ども時代から映画鑑賞を通じて、世の中への興味の幅や積極性を広げた可能性は高そうです。
尚、成人後の映画鑑賞経験による影響を除外するために、現在は年に1度も映画館を利用していない1,103人に絞っても、小学生の頃に映画鑑賞経験がある層は、同様に学力や好奇心が高い傾向がありました。
日本や世界の映画教育
【日本】
国立映画アーカイブ (www.nfaj.go.jp/learn/kids/) 中学生以下を対象とした上映イベント「こども映画館」を毎年開催。
一般社団法人こども映画教室 (www.kodomoeiga.com/) 2004年から「こども映画教室」を開催。子どもたち自身が映画を制作するワークショップや名画の鑑賞を通じて、次世代の文化を担う、創造力豊かな子どもたちの育成を目的に活動しています。
【イギリス】
Into Film (www.intofilm.org/) 1980年代から映画教育が始まり、現在は“Into film”に受け継がれ、5-19歳を対象に映画鑑賞や映画制作などの教育プログラムが用意されています。2017年に開催された“Into Film Festival”では486,289人の子どもたちに映画館で無料で鑑賞する機会を提供。教育プログラムを行った教師の81%が「生徒の想像力と創造性が向上した」と答え、また78%が「対話力などのソーシャルスキルが向上した」と回答するなど、映画教育の成果を示しています。
【フランス】
École et cinéma (http://enfants-de-cinema.com/ecole-et-cinema/) 1994年に始まった幼稚園児と小学生に映画館で映画を見せる教育が浸透しています。2017-18年度の実績として、11,579校の約100万人が授業の一環として、推薦された世界中の名作を映画館で鑑賞。
子どもたちのみならず大人にとっても、映画を楽しむことが、見知らぬ世界や出来事に興味を抱くきっかけとなります。映画教育の場はたくさんありますので、親子で映画について話し合ったり、作ったり、様々な形で映画に触れてみてはいかがでしょうか。
アンケート実施概要
※第1回レポートと同じアンケート
- 2018年6月8日(金)~6月11日(月)
- インターネットによるアンケート調査
- 全国の15~69才男女 2,230名から、学生を除いた1,847名
- 映画館での映画鑑賞
自宅での映画鑑賞
自宅でのドラマ鑑賞
アニメ鑑賞
読書(小説・新書)
読書(コミック)
ゲーム
観劇(生の舞台)
美術鑑賞
音楽ライブ・フェス
クラシック音楽鑑賞(生の演奏会)
スポーツ観戦(生の会場)
写真撮影
国内旅行
海外旅行
ウォーキング・ジョギング・マラソン
登山・ハイキング
スポーツジム・フィットネスクラブ
ゴルフ
- 株式会社日本リサーチセンター
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