春来る鬼

公開日：1989年4月15日（土）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・137分　
遠い昔、鬼の岬に漂着した若い男女の数奇な運命を描いたストーリー。須知徳平の同名小説の映画化で、脚本は『竹取物語(1987)』の菊島隆三が執筆。監督は俳優の小林旭、撮影は鈴木義勝がそれぞれ担当している。

STORY
遥か遠い昔、日本列島の北端に北の浜という村落があった。漁師のさぶろうし（松田勝）は村落の長の娘ゆの（若山幸子）と相思相愛の仲だったが、身分の違いから結ばれなかった。そこで婚礼の日にゆのを略奪、嵐のなかを舟で逃げたのだった。気がつくと二人は鬼の岬へ漂着。名代衆の長老・くっくねの爺（三船敏郎）に保護されるが、よそ者ということで岬の浜の長・頭屋（滝田栄）の屋敷へ連行され、裁きを受けることになった。頭屋はまずさぶろうしに“お石とり”のためしを与えた。岬の突端から荒波に飛び込み、海底の石を取ってくるのだ。くっくねの助言もあって、さぶろうしは見事成功した。次のためしは“喪屋ごもり”。死体置場に満月の夜まで監禁されるのである。強靭なさぶろうしの肉体には何匹ものヒルが吸いついた。その間ゆのは頭屋の屋敷に奉公していたが、ある晩さぶろうしは我慢できずに縄を引きちぎり喪屋を逃げ出した。頭屋は三つめのためしとして嵐のなか小舟で漁をしてくるよう命じた。それも大漁でなければならないという。ゆのは体をこわし、くっくねが預ることになった。今度こそさぶろうしは死んでしまうのではないかとゆのは半狂乱になるが、霧の中彼は一匹の大魚を持って帰ったのだった。その頃村ではジャビと呼ばれるはやり病が蔓延していた。これにかかると体中が小豆色に腫れて、やがて死んでしまう。ある晩ゆのは再び屋敷に連れていかれ、頭屋の顔がジャビに冒されていることを知った。頭屋は臨終の際にくっくねの爺や口走りのばんば、さぶろうし、ゆのの前でこの岬に伝わる悲劇を語り始めたのだった…。