日も月も

公開日：1969年1月25日（土）

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・98分
ノーベル賞作家川端康成の原作を広瀬襄が脚色し、中村登が監督した文芸もの。撮影は竹村博が担当している。

STORY
朝井松子（岩下志麻）は京都光悦寺の茶会で、高谷幸二（石坂浩二）から彼の兄宗広（中山仁）が吐血して入院したことを知らされた。松子と宗広は、去年の秋京都で結ばれた。しかし宗広は松子を捨て、巻子（大空真弓）と結婚してしまった。松子の母道子（久我美子）は父の後妻だったが、義理の息子の敬助が戦死すると、彼の戦友紺野（入川保則）の許へ走った。鎌倉の朝井邸には、父と勤めをやめた松子が、ひっそり残された。穏やかに晴れた冬のある日、松子は七里ヶ浜の療養所に入院している宗広を見舞った。途中、江ノ島電車の窓からとらえた父の親友木崎（笠智衆）と若妻さよ子（香山美子）の明るい姿は、緊張した松子の心を和ました。しかし、病んでひねくれた宗広との対面は味気なく、心が凍る思いだった。春が訪れた。松子はブリジストン美術館で幸二に再会した。そこで幸二は、兄の夫婦関係が険悪なものになっていると語った。新緑の頃、松子の父が脳溢血で死んだ。孤独になった松子は木崎に家を買ってもらい、自分は木崎の家に引っ越した。一方、家を出奔した道子は、戸籍上では、依然父の妻であり紺野は彼女の遺産相続に期待していた。松子が会社勤めをするようになったある日、宗広と松子の過去にこだわる巻子が、離婚したと告げに来た。その日、道子が紺野と別れて戻って来た。宗広の訃報が伝わったのは、それから間もなくのことだった。その頃京都は紅葉に染まっていた。家に帰った松子が、そこに見たのは、どうしても離れられぬ紺野と道子の生身の姿だった・・・。