映画・アニメの世界

【作品データベース】バナナ ばなな

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・90分
読売新聞に連載された獅子文六の同名小説を映画化したもの。『霧ある情事』のコンビ斎藤良輔が脚色し、渋谷実が監督した。歌舞伎の二代目尾上松緑が在日華僑の親玉に扮し、堂々たる演技を示したのが話題になった。

STORY
在日華僑総社の会長呉天童(二代目尾上松緑)の一人息子竜馬(津川雅彦)は、いたって純情な青年である。中古のコンソルを買うために貯めた貯金が20万円ある。まだ20万円足りない。友達のサキ子(岡田茉莉子)がシャンソン歌手になるといいだし、喫茶店「キキ」で、後援会をこさえたり切符をさばいたりするのに忙がしい。「キキ」のマスター宍倉(三井弘次)もマネージャーを買って出た。サキ子は父親の貞造(宮口精二)をくどき落すのに竜馬と宍倉に同行を頼んだ。竜馬が呉天童の息子だと聞くと貞造の風向きが変った。神戸にいる竜馬の叔父呉天源(小沢栄太郎)は大商人だった。バナナ仲買人として年に250カゴ扱っている貞造にとって、4000カゴもの輸入許可証を持っている天源は羨望の的であった。権利を少しわけてくれるように頼めば、20万のリベートを出すと言った。コンソルが買える。竜馬は天源を訪ねた。1800カゴの輸入許可書をくれた。竜馬はサキ子と自動車の中古市へ行ったが、コンソルは売れていた。--竜馬の母紀伊子(杉村春子)は、シャンソン愛好の集いマロニエ会に夢中になり、歌手の永島(仲谷昇)にパリの話を聞く会を企画していた。箱根の旅館へ泊った夜、彼女は冒険をしようとしたが、その場になると永島に幻滅を感じた。竜馬は銀座で一人の青年に声をかけられた。天童の許に出入りしている王(小池朝雄)だった。彼はやがて竜馬に競馬や競輪の味を覚えさせ、スッテンテンにしてしまった。天童が王のことを調べてみると、張許昌(菅井一郎)の一派らしい。張は天童の失脚を狙っている男なのだ。双葉ホールでのサキ子のシャンソン発表会は予想以上の盛況だった。その頃、天童の邸には竜馬の逮捕状を持った刑事が来ていた。竜馬は初めて王や張にクレームのことで騙されたことに気づいた。サキ子が急を聞いて駈けつけた。天童は彼女の眼に涙が光っているのを見て「竜馬が釈放されたら、あの娘さんと一緒にしばらく天源のところに預けたいと思うんだが」と紀伊子に言うのだった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
津川雅彦
岡田茉莉子
二代目尾上松緑
杉村春子
伊藤雄之助
- スタッフ -
原作:獅子文六
監督:渋谷実
脚色:斎藤良輔
撮影:長岡博之
音楽:黛敏郎

配給:松竹
Ⓒ1960松竹株式会社

ジャンル:現代劇