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【作品データベース】人間の條件 第一部純愛篇、第二部激怒篇 にんげんのじょうけん だいいちぶじゅんあいへん、だいにぶげきどへん

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・208分
五味川純平が自らの従軍体験をもとに記したベストセラー小説を原作に、全6部(上映は2部づつ)の長編仕様で綴る一大反戦映画シリーズ。「青春を戦争の中で送り、自分の意思に反して戦争に協力する形でしか、あの時代を生き残ることができなかった不幸な経験を、梶という人間像の中でもう一度確かめてみたい」と、戦中派の小林は並々ならぬ意欲を燃やし、理想が過酷な現実の前に屈していくことの悲劇を通して、確固とした戦争否定の信念を露にしていく堂々たる大河超大作シリーズに着手。これが国内だけでなく海外からも喝采を浴びたことで、小林の名声は世界に轟くこととなった。

STORY
昭和18年の満州、梶(仲代達矢)と美千子(新珠三千代)の夫婦をのせたトラックは老虎嶺鉱山に向けて走っていた。満鉄調査部勤務の時に知合い結ばれた二人は、友人影山(佐田啓二)の勧めで労務管理の職につく梶の任地に行くのだ。戦争に疑いをもち、妻を愛する梶が、召集免除を条件に自ら選んだ職場が、そこに彼を待っているはずだった。しかし、現地人の工人達を使って苛酷な仕事を強いる鉱山の労働条件は、極度に悪かった。現場監督岡崎(小沢栄太郎)一味の不正に対抗し、同僚沖島(山村聡)や部下の現地事務員陳(石浜朗)の助けをえて、梶の苦闘がつづく。折から上部より二割緊急増産の指令とともに、北支から六百名の捕虜が特殊工人として送りこまれてきた。半死状態の捕虜たちは電流を通じた鉄条網の中に入れられ、労働意欲をかりたてるためと称して娼婦をあてがわれた。工人の高(南原伸二)と、娼婦楊春蘭(有馬稲子)の愛が芽ばえたのは、そんな条件の中でだった。一方、朝鮮人の張命賛(山茶花究)は、娼婦の金東福(淡島千景)を使って、工人を脱走させる仕事で甘い汁を吸っていた。真面目な陳を金東福の色じかけで手中に入れ、弱点を握って鉄条網の電流を一定時間とめさせるのだ。牟田(永田靖)や古屋(三井弘次)が日本人側からこれに加担していた。特殊工人と話し合って、現状での最善の状態を作ろうと努力し、梶は二割増産を達成させた。しかし、楽しみにしていた美千子との休暇は、張一味による脱走事件の発生で中止となった。張一味と結んだ古屋は、梶をねたんで再度の工人脱走を企てた。だが、陳は良心の苛責から、三千三百ボルトの電流の通じる鉄条網に自ら身を投じて死んだ。現場監督岡崎の非人間的な態度は、特殊工人の反感を買い、ある時、高をはじめとする七人の抗議事件をひきおこした。憲兵軍曹渡合(安部徹)の手で、七人は日本刀による斬首の刑に処されることになった。一人、二人と残虐な処刑が進行するうちに、それを見る梶の心理は激しく動いた。特殊工人たちの喚声の中で、遂に梶は「やめてくれ!」と声をあげて叫んだ。処刑は中止された。しかし、そのあとには、軍部に反抗を企てた梶に対する、恐るべき憲兵隊のリンチが待っていた。そして、半死半生で釈放された彼につきつけられたのは、現職免除の命令と、臨時召集令状だった。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
仲代達矢
新珠三千代
佐田啓二
山村聡
三島雅夫
小沢栄太郎
南原伸二
石浜朗
淡島千景
有馬稲子
- スタッフ -
原作:五味川純平
監督:小林正樹
脚色:松山善三
脚色:小林正樹
撮影:宮島義勇
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1959松竹株式会社

ジャンル:現代劇