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【作品データベース】女 おんな

作品情報

INTRODUCTION
上映時間・67分
大船作品 物資も予算も乏しい戦後の日本映画界の中、たった二人きりのキャストを伴い、思い切って撮影所を飛び出してオール・ロケを敢行して完成させた木下惠介監督ならではの実験精神に満ちた意欲的ヒロイン映画。どうしようもない男の内から醸し出される優しさと狡猾さ、そんな男に翻弄される中から頭をもたげていく女の強さと非情さ、その双方が舞鶴や箱根、熱海と、戦後まもない日本の牧歌的な景色を背景とするロード・ムービー感覚と、俳優の顔のサスペンスフルなアップの対比で描かれていく。クライマックスの火事場シーンは、ライバルでもある黒澤明監督からも絶賛された。

STORY
男性の重圧に反発しつつ、正しく生きることを願う女、敏子(水戸光子)は雄々しくも強い自己本来の魂に目覚めていた。レビューの踊子敏子はやくざの町田(小沢栄太郎)の命令で箱根まで無理矢理に連れられていった。町田は足を怪我したらしくびっこをひいていた。駅ですれ違った町田の友人二人と、車中で見た三人組強盗の新聞記事。敏子は女の敏感さで、そこにただならぬものを感じるのだった。箱根に着いたと思ったら、もう直ぐ浜松に行こうという。敏子の手を握っている町田の手は完全に一人の女の運命をつかんでいるのだ。それはいくらあがいても逃がれることの出来ないクモの糸の如く、町田の触手は執拗だった。どうしても悪事を働いた人間とは思われぬほど無邪気に笑っている町田を見る時、敏子は恐ろしさにぞっとした。卑怯者!世間知らずのショップガールをだまし、バーからダンサーと転々と渡り歩かせ、男から金をしぼらせ、前借りをふみ倒させては逃げさせ、男故に転落して行く敏子。その転落の中にあっても敏子は絶えず、正しく生きるために町田と別れる以外の道のないことを知っていた。しかしその度に哀れっぽい町田の甘言にほだされる弱い女でもあった。熱海で途中下車したものの、町田は更生を誓ったそばから火事場騒ぎにつけ込んで、またしても窃盗を働いた。敏子はこの男の目から自己の将来をはっきり見とることが出来た時、あの人は強盗です。つかまえて下さい!!と絶叫していた。

キャスト・スタッフ

- キャスト -
水戸光子
小沢栄太郎
- スタッフ -
監督:木下惠介
脚本:木下惠介
撮影:楠田浩之
音楽:木下忠司

配給:松竹
©1948松竹株式会社

ジャンル:現代劇